【AppSheet】個人事業主向け収支管理アプリ|構築ロードマップ
初めまして、こんにちは。独立5年目の個人事業主です。
独立当初の僕は「お金の知識0」だったので、不安もあり2年目までは税理士さんに仕訳を教わりなんとか確定申告を終えていました。
そんな時、先ゆく先輩に「事業の数字は自分でも把握できるようになった方がいい」と教わりました。
それから簿記や税金を学びはじめ、「日々の収支管理を自分で行うことこそが、手元にお金を多く残す一番の土台になる」と痛感したのです。
とはいえ、市販の会計ソフトやスプレッドシートでの管理はどれも一長一短でイマイチ…。
そこで、ノーコードでアプリが作れる「AppSheet」に出会い、自分の理想を全て詰め込んだ自作の収支管理アプリを開発しました。
日々の収支は、スマホ・パソコンから手軽に記録できます。そのデータは、
- 複数の口座や財布の残高表示
- 支出カテゴリ別のグラフ表示
- 事業経費と生活費の自動分類・集計
- 来年度の所得税や社会保険料等の納税目安額
- 確定申告の様式(所得・経費・控除)に沿ったわかりやすい画面表示
など、必要な情報ごとに整理された「専用のダッシュボード画面」でひと目で確認できます。
言葉で説明するよりも、実際に触ってみたほうが圧倒的にイメージが湧くはずです。
そこで、操作感を試せる「デモデータ入りお試し版」をご用意しました。
解説ページでは、各グラフの役割や簡単な入力方法も解説しているので、まずは一度、直感的な操作性やリアルタイムで変わるグラフの変化を体験してみてください。👇
いかがでしょうか? 少し触れば直感的に入力できますよね。
収支管理アプリは「基本版」と、家族・扶養設定や給与所得の対応など、+αで機能を追加した「完成版」とがあり、こちらのお試し版は「完成版」です。
+αで追加できる機能は、すべての人に最初から必要な機能ではありません。このロードマップでは、まず本人ひとりの条件で収支管理を始められる「基本版」を作り、その後、必要な機能を順次追加していきます。
必要な数字と向き合い、経営や生活面でのさまざまな判断をしやすくするために作ったこのアプリを、僕と同じように悩む方にぜひ共有したいと思い、この記事を書きました。
お金の不安を減らすために、まずはお金の流れを把握できる仕組みを作りましょう。
難しいことは考えなくて大丈夫!まずは「AppSheet」というツールの特徴から見てみよう!
AppSheetとは?特徴と利用料金をかんたんに解説
それではまず、AppSheetがどのようなサービスなのか、使い始める前に知っておきたい主な特徴と利用料金を、3つに分けて紹介します。
① Googleが提供するノーコードのアプリ作成ツール
プログラミングの知識がなくてもアプリを作れるノーコードツールで、このアプリではGoogleスプレッドシートをデータソースとして使用します。
データの保存先や共有権限は自分のGoogleアカウントで管理でき、テンプレート提供者へ日々の収支データを渡す必要はありません。
そのため、収支データを提供者に預けず自分で管理できることは、プライバシー面での安心材料の一つです。
※安全に利用するためには、Googleアカウントのログイン設定に加え、AppSheetとGoogleスプレッドシートの共有権限を適切に管理することが大切です。利用を始める前に、一度確認しておくことをおすすめします。
② 無料でアプリの作成・テストが始められる
AppSheetは、無料でアプリ作りが始められ、実際の動きを確認して修正をしていくことができるため、最初の一歩を踏み出しやすいのが特徴です。
しかも、作れるアプリは一つではなく、目的に合わせて複数のアプリを作り、試すことができます。
実際に僕も、収支管理アプリのほかに顧客管理アプリを自作して使っていて、シンプルな画面デザイン(UI)なので、少し触れば直感的に操作できます。
③ 完成後の利用料金は?
完成したアプリを個人事業の業務で継続的に使用する場合は、「AppSheetを単体で契約する」か「Google WorkspaceのBusinessプランを契約する」かなど、利用方法に応じた有料ライセンスが必要になります。
| 比較 | AppSheet単体 Starter | Workspace Business Starter |
| 料金 | 月額5ドル/ユーザー(約800円) | 年間プランで月額800円/ ユーザー |
| アカウント | 現在の個人アカウント | 独自ドメインの仕事用アカウント |
| 利用できるAppSheet | Starter | Core |
| 独自ドメインメール | なし | あり |
| Google Drive | 個人アカウントの容量 | 30GB/ユーザー |
| 向いている人 | 今のアカウントのまま、このアプリだけ手軽に使いたい人 | 仕事用Google環境もまとめて整えたい人 |
※2026年8月時点。AppSheet単体の日本円換算額は為替によって変動します。Google Workspaceの月額800円は、年間プラン(1年契約)を選んだ場合の1ユーザーあたりの公式表示価格です。料金は変更される場合があります。
迷った時は、次のように考えるとわかりやすいです。
今の個人Googleアカウントのまま、このアプリだけを手軽に使いたい方
→ AppSheet単体のStarter
独自ドメインのメールやGoogle Driveなど、仕事用のGoogle環境もまとめて整えたい方
→ Google Workspace Business Starter
※Workspace Business Starterには、AppSheet Starterより機能の多いAppSheet Coreが含まれていますが、独自ドメインの取得や仕事用アカウントの初期設定が必要です。
僕はAppSheet以外にも、2TBのクラウドストレージなどを事業で利用したいため、Business Standardを契約しています。今回のアプリを利用することが主な目的であれば、まずはBusiness Starterも選択肢になります。
・AppSheet公式料金ページ
・Google Workspace公式料金ページ
※必要なライセンスは、使用する機能やアプリを共有する相手によって異なります。詳しい料金と契約方法は、別記事で比較する予定です。
無料でアプリ作りを始められて、実際の動きまで試せるなんて、小規模な事業主さんには嬉しいツールだね!
うん、そうだね。少しコツはいるけど、GeminiなどAIの力を借りていけば、自分の用途に合ったアプリに少しずつ近づけられるよ!
実際、僕はプログラミングの知識も0ですし、ややこしい関数なんて全くわかりません。
その辺は全てGeminiなどのAIを活用して作りました。
そんな専門知識がなくても理想の形に作れるツール。それがAppSheetです。
ざっくりと特徴がわかったところで、次はこのアプリの全体構成を解説していきます。
アプリを動かす5つの役割分担
このアプリの裏側では、複数のスプレッドシート(テーブル)が、それぞれ異なる役割を担当しています。
ここでは最初に、完成版の中で各テーブルがどのような役割を持っているのかを紹介します。
国の税制や自治体ごとの料率を管理する場所、自分や家族の条件を登録する場所、日々のお金を記録する場所、そして記録された数字を月別・年別に集計する場所です。
それぞれのテーブルが連携することで、日々の収支を記録するだけで、事業・生活・税金・社会保険料などのお金の流れを確認できるようになります。
ここでは、アプリを支えるテーブルを、次の5つの役割に分けて紹介します。
① 国の制度を管理「国のルール」
このグループでは、所得税や所得控除など、国の制度をもとにした計算ルールを管理します。
✅【税制マスタ】:税金や所得控除のルールを管理
基礎控除、青色申告特別控除、所得税率など、税金を計算するための基礎情報を記録します。
※家族や扶養に関する控除を計算したい場合は、基本版の完成後に「家族・扶養控除マスタ」を追加します。こちらは+α編で紹介する予定です。
毎年公表される税制改正大綱の内容を確認し、税率や控除額などに変更があれば、関連するマスタを見直すことで、計算ルールを更新しやすい構成にしています。
💡 補足:税制改正大綱(ぜいせいかいせいたいこう)とは?
簡単にいうと「国の税金ルールの変更予告」のことです。所得税の控除額や確定申告の手続きが変わるなど、個人事業主の手取り額や経理作業に直結するため、僕たちにとって超重要なお知らせです。
僕自身、毎年確認するのは少し手間に感じます。
それでも、税制改正の内容を確認してアプリへ反映することで、日本の制度をより身近に感じ、自分ごととして理解できるようになりました。事業を続けるうえで、税金や社会保険などのルール変更に早めに気づけるようになったことも、このアプリを作って良かったと感じる点の一つです。
税率や金額の変更をマスタへ反映しやすい構成にしていますが、計算方法そのものが変わった場合は、数式の修正が必要になることもあります。その場合は、必要な修正内容をブログやSNSでお伝えします。
このパートは、「構築ロードマップ」の第2回で作成します。
(第1回では、アプリの初期設定を行います。)
② 地域ごとの違いを管理する「自治体のルール」
住民税や国民健康保険料は、住んでいる自治体や年度によって、料率や金額が違う場合があります。
そのため、国の税制とは分けて、自治体ごとの情報を管理します。
- 【自治体マスタ】:利用する自治体を登録
都道府県名や市区町村名など、計算に使用する自治体の基礎情報を登録します。 - 【住民税マスタ】:住民税の計算条件を管理
市町村民税・都道府県民税の所得割率や均等割額、調整控除額などを年度ごとに記録します。 - 【国保料率マスタ】:国民健康保険料の計算条件を管理
医療分・支援分・介護分の所得割率、均等割額、平等割額などを年度ごとに記録します。
引っ越しをした場合や自治体の料率が変更された場合も、該当する年度の情報を追加・修正することで対応できます。
通知書や自治体の公式情報と見比べながら設定できるため、自分の地域や年度に合わせて、より実態に近い概算を確認しやすくなります。
確定申告と所得税の納付が終わった数ヶ月後に届く【住民税と国保】の納税通知書を見て、「高すぎる!」と思った人も多いでしょう。
それも、これらの設定を済ませば、日々の収支と、自治体が公表している料率などを組み合わせることで、翌年の住民税や国保などの概算を確認しやすくなります。
その結果、前もって納税・納付資金を分けて準備できるので、出ていくお金は同じでも、ゆとりを持って対応できるようになるはずです。
このパートも、「構築ロードマップ」の第3回で作成します。
③ 自分の条件を登録する「利用者設定」
税金や社会保険料は、住んでいる場所だけでなく、年齢や加入している保険、所得控除など、本人の条件によっても変わります。
基本版では、その年の自分に当てはまる条件を「ユーザー設定」へ登録します。
✅【ユーザー設定】:本人の条件を登録
対象年、居住自治体、生年月日、加入している医療保険、申告区分、所得控除、納付月などを設定します。
登録された内容は、国のルールや自治体のルールと組み合わされ、所得税・住民税・国民健康保険料などの概算に反映されます。
基本情報が変わらなければ、毎年すべてを最初から入力する必要はありません。翌年の設定を作成する機能を使い、変更があった項目や新しい年度の料率を中心に見直せる構成にします。
配偶者や扶養親族の条件も計算へ反映したい場合は、基本版の完成後に「家族・扶養設定」を追加します。こちらも+α編で紹介する予定です。
このパートも、「構築ロードマップ」の第4回で作成します。
④ 日々のお金を記録・管理する「記録の土台」
ここからは、実際のお金の動きを記録するための土台です。
口座やカテゴリ、予算などをあらかじめ整えたうえで、日々の取引を記録していきます。
- 【ウォレット】:お金の保管場所を管理
事業用口座、生活用口座、現金、電子マネーなどを登録します。 - 【大カテゴリ/支出カテゴリ/収入カテゴリ】:収入と支出の分類を管理
売上、経費、家事按分、生活費、所得控除など、記録や集計に使用する項目を整えます。 - 【予算】:支出の予定を管理
毎月または年間で発生する支出の予算と対象月を登録します。 - 【固定資産マスタ/借入金マスタ】:長期間にわたるお金を管理
減価償却が必要な固定資産や、借入金の返済予定を管理します。 - 【取引/取引明細】:日々のお金の動きを記録
いつ、どのウォレットから、どのようなお金が動いたのかを記録します。
💡 【取引】と【取引明細】は、親子関係として連携します。
たとえば、1回の買い物に消耗品費と旅費交通費が混ざっている場合も、1件の取引の中へ複数の明細を登録できます。
レシート画像やメモも一緒に残せるため、後から内容を検索して確認するときにも役立ちます。
ここで記録した数字が、事業・生活・税金・社会保険料などを確認するための土台になります。
これらウォレットやカテゴリは、「構築ロードマップ」の第5回、固定資産・借入金は第6回、取引・取引明細は第7回で作成します。
⑤ 記録した数字を集計し、画面へ届ける「月別・年別サマリー」
最後は、これまでに登録したルールや条件、日々の取引を、確認しやすい数字へ整える役割です。
- 【月別サマリー】:月ごとの数字を集計
収入・支出・生活費・税金・社会保険料などを月ごとに集計し、月別のグラフや納税カレンダーなどへ届けます。 - 【年別サマリー】:1年間の数字を集計
年間の売上・経費・所得控除・税金・社会保険料・手残りなどを集計し、年別の画面やグラフへ届けます。
月別・年別サマリーは、普段直接入力するためのテーブルではありません。
取引や各種設定に記録された数字を集め、事業関連・生活関連・キャッシュフローなどの画面やグラフへ表示するための集計役です。
つまり、このアプリは、
国や自治体のルールを登録する
↓
自分や家族の条件を設定する
↓
日々のお金を記録する
↓
月別・年別に集計して画面へ届ける
という流れで動いています。
日々の記録が、現在の状況やこれから必要になるお金を確認できる形へ変わることで、「税金はいくら準備すればいいのか」「今使えるお金はいくらあるのか」といった判断がしやすくなります。
月別サマリーでは、今年支払う税金や社会保険料を「納税カレンダー」で月ごとに確認します。
年別サマリーでは、今年の収支記録から、来年支払うことになる所得税・住民税・国保・国民年金・消費税・個人事業税などの見込み額を確認します。
※本アプリで表示される税金や社会保険料は、登録された取引・設定・料率をもとに計算した概算です。実際の申告や納付については、最新の公的情報、各種通知書、必要に応じて税理士や自治体などへご確認ください。
国のルール、自治体のルール、自分の条件、日々の記録、そして月別・年別の集計。5つの役割がつながって、画面の数字になるんだね!
仕組みは分かったけど、完成版と同じものを最初から全部作るのは大変そう……。
そうだよね。だから、最初から全部を作る必要はないよ!
まずは収支記録と納税・納付予測に必要な基本版を完成させて、その後、自分に必要な機能を少しずつ追加していこう!
【全8回】ゼロから始める!自作収支管理アプリの構築ロードマップ
ここからは、日々の収支を記録し、事業と生活のお金の流れ、今年と来年の税金・社会保険料を確認できる「基本版」を作っていきます。
※各回の解説記事は順次公開予定です。公開後、このページから読めるように更新します。
アプリ完成までの完全ロードマップ(全8回)
👉 第1回:【準備編】AppSheetのアカウント作成と挫折しないための初期設定
👉 第2回:国のルール設定編(税制マスタと計算ルールの作り方)
👉 第3回:自治体のルール設定編(自治体、住民税、国保料率マスタの作り方)
👉 第4回:利用者設定編(ユーザー設定・消費税・インボイス設定の作り方)
👉 第5回:記録の土台編(ウォレット、各種カテゴリ系、予算の作り方)
👉 第6回:資産と負債編(固定資産、借入金マスタの作り方)
👉 第7回:取引記録編(取引、取引明細マスタの作り方)
👉 第8回:集計・表示編(月別・年別サマリー・自動記録Bot・グラフの作り方)
基本版に追加できる+α機能
基本版が完成した後は、家族構成や働き方、事業の状況に合わせて、必要な機能を追加できます。
今後は、次のような機能を+α編として紹介していく予定です。
・家族・扶養控除の設定
・配偶者の所得や社会保険料の予測
・給与所得やマイクロ法人との二刀流
すべてを追加する必要はありません。基本版を使いながら、自分に必要な機能を選んで追加していく形です。
+α編の記事は、完成したものから順次こちらへ追加します。
まとめ:資金と心にゆとりを持った事業ライフへ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ここまで、完成版アプリの全体像と、まず作成する基本版の流れを紹介しました。
記事を通じて、アプリのテーブルごとの役割や全体像を見ていただいたことで、これから必要なお金をどう見通していくのか、その具体的な道筋が少しずつイメージできたのではないでしょうか。
僕自身、このアプリの作成と収支管理を通じて、今までは難しそうに思えた税制改正や日本のルールが驚くほど身近に感じられるようになり、「税額の目安を把握し、納税・納付資金の準備や、制度の活用を早めに検討する」ということが実践できるようになってきました。
日々の記録を続けることが、自分の数字を自分で見通すための第一歩になります。
このアプリ作りと収支管理が、資金と心にゆとりを持って事業を続けるための助けになれば嬉しいです。
※本アプリは、日々のお金の流れを把握し、税金や社会保険料の目安を早めに確認するための収支管理ツールです。会計ソフトや確定申告書の作成、税理士による税務相談を代替するものではありません。表示される税額などは概算値としてご利用ください。
※本ロードマップを参考に、ご自身でアプリを作成・利用することは問題ありません。
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